■ICタグを利用した「電子カルテ」

伊藤忠商事株式会社は、スマートフォンとICタグを利用した新しい災害対応システムの販売を開始した。このシステムでは「トリアージタグ」と呼ばれる従来の紙製のカルテに代わり、ICタグを利用した「電子カルテ」を使用することで、災害時の効果的な傷病者治療を実現する。

災害対応傷病者情報管理システム


■災害場所から医療施設まで一貫して電子カルテとして管理

災害時の医療活動では、多数の傷病者情報(容態、人数)を迅速かつ正確に把握することが必要でありながら、従来の紙カルテは、破損するなどで情報伝達が不十分で適切な対応ができない場合もあった。今回、その問題を解決すべく新たに災害場所でスマートフォンを用いて傷病者の容態を素早く入力し、それをサーバに送信するとともにICタグに転送して傷病者に付帯する。災害場所から適切な医療施設まで一貫して電子カルテとして管理する仕組であり、これによって災害時での傷病者の早期治療・回復を可能とした。

近い将来は厚生労働省の広域災害救急医療情報システム(EMIS)との接続も予定しており、その後は各都道府県単位での広範囲の活用も可能となり、さらには平時での電子カルテシステムとの共有化を行ない、診療情報を患者が所持するICタグとクラウド化したデータサーバに保存することで平時からの医療情報一元管理が期待されている。

今回、伊藤忠商事は、東芝グループの総合エンジニアリング会社である東京エレクトロニツクシステムズ株式会社(以下、「TECS」)と協力し、このシステムの活用範囲・場所に合わせてシステムパッケージを用意し、地方自治体及び病院などへの販売を開始する。

今年9月1日には高知県で実施された南海トラフ巨大地震を想定した総合防災訓練(広域医療搬送訓練)において、高知県内の災害対策本部、現場救護所、基幹災害医療センター、広域搬送拠点の4地点を結んだシステムの総合運用実験を行ない、傷病者情報の収集・管理が飛躍的に改善されることが実証されている。

なお、このシステムは、TECSが地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立急性期・総合医療センターと共同で開発した。


●外部リンク

伊藤忠商事(株)
http://www.itochu.co.jp/
東京エレクトロニツクシステムズ株式会社
http://www.tecs.toshiba.co.jp/tecs/